ご挨拶

ホームページをご覧頂き、ありがとうございます。

私にとって歌は、自分を整え、良い方向へ導いてくれる、とても大切なものです。

音楽から沢山のギフトを頂きながら日々歌えることに感謝しつつ、皆様に、ゆとりある時間と音楽の持つエネルギーとをお届け出来ればと思っています。

これからも、どうぞよろしくお願い致します。

田村真理子

3月25日 Zest Live

3月25日13時半より、ゼスト御池・御幸町広場にて演奏致します。

・ヘンデル作曲

クレオパトラのアリアより

「この胸に息がある限り」

・シューベルト作曲

糸を紡ぐグレートヒェン

春の信仰

死と乙女

・久石譲 作曲

Stand Alone

…ほか

ぜひ、聴きにいらしてください♫

イニシェリン島の精霊

『イニシェリン島の精霊』の感想

先日、今年のアカデミー賞候補ということもあり、密かに話題作だった『イニシェリン島の精霊』を観に行きました!
以下、予告とネタバレ含む感想です…

小さな島で起こる、おじさん同士のちょっとした諍い。ただただそれだけのお話なのです。周りから見れば小さな小さな出来事、私たちと何の関係も無い、どうでもいい話・・・のはずが、見終わった後は、徐々にいろんな思考が沸き起こり、誰かとゆっくり語り合いたくなる、そんな映画です。

そもそも諍いの原因が、残りの人生、芸術音楽という崇高なものに身を捧げたいと決意したおじさんが、急に今まで仲良くしていた親友との関係がくだらなく思えて一方的に縁を切ろうとしたことに始まる。
もっと自分の芸術の為になる話をしたい、どうでもいいアホ話は時間の無駄…
そういうことって、よくあることなのでは?
人間関係を一掃したくなる心理。自分の方がレベルが上であり、釣り合わない…と思う心理。
普通はそこで、言われた側は身を引くものなのだろうけど、ここは小さな島だし、パブも一つしか無い。顔を合わせないわけにはいかない。それに二十年来の大親友だ。
そこからまぁ二人のやり取りが色々あるのだけど、ある時、とうとう絶縁を言い出したおじさんは、話しかけたら自分の指を切り落とす!という恐ろしいことを言い出した。裏を返せば、そのくらいしなければ、崇高な音楽へ身を捧げようという決意が揺らいでしまうということ。一気に物語の緊張感が増す。
そして、それは現実となり、善良な友に心を一瞬許したかと思うと、自分への戒めであるかのように、指を切り落として行く…
切断した血だらけの指を家の扉に何度も投げつけられたら流石に心優しい友も黙ってはいない。とうとう相手の家を放火してしまう。泥沼化する関係の中で、でも一つだけ救いがあった。それは、お互いが飼っている犬とロバに対しては、思いやりの心があったということ。弱きものを助けたいという気持ち。それが、この物語の結末の小さな光だっだと思う。決して昔のようには戻れないだろうけど、諍いは少しずつ鎮まり、新たな道が開かれて行くような予感を残し、物語は終わる。
これって、どうしようも無いほど泥沼化してしまった争いに対する一つの解決策とも受け取れる。
また、崇高な芸術のためと言って、人を切り捨てることが、本当に崇高なものへ繋がるのか?という疑問。芸術は、人間をそして日々の生活を豊かにするものだと思う。無理に切り離したところで、誰の心にも届かない。もっと根の生えたところにこそ、芸術は宿るのでは?
ギリシャ神話のミューズの物語は、芸術とは、自然の理を伝え、人々の記憶に残るものであり、良い方向へ導くものである、という思想を私たちに残してくれているけれど、そこから考えても、自分の居場所、地に足がついてないところから、芸術は生まれ無いのだと思う。人にはそれぞれ居場所があって、それを受け入れて、そこから生まれるもの、それがその人にしか生み出すことの出来ない芸術なのだと思う。自分の居場所を知ること、それは小さな小さなことのようだけど、全ては、そこにある、ということ。上を目指したいのなら、下を掘ること。
発声や音楽にも繋がる。いい音、いい響を受け取りたくて、上へ上へ気持ちが行くのだけど、支えや下のお仕事を忘れるとフワフワして苦しくなる。上と下は、いつもバランスが大切。
そんなことを色々と考えさせられた映画でした。
それに、この映画の素晴らしいところは、アイルランドの美しい自然、土臭い音楽と素朴で善良な心を映し出すかのような歌も印象的。
ブリテン編曲のイギリス民謡を聴きたくなった。

2月23日Live動画 クロリスに

23日に歌った中から、レイナルド・アーン(1875-1947)作曲の「クロリスに」をご紹介したいと思います。

(以下、私見となりますこと、ご了承くださいませ)

題名のクロリスとは、ギリシャ神話に出てくる、大地の精クローリス(青ざめた顔の女の意)のこと。
クローリスは、西風のゼピュロスに愛され、一度死に、春と花の女神へ生まれ変わるのですが、
この歌は、西風ゼピュロスの愛を受け入れ、純潔な処女から美しい一人の女性へと生まれ変わる、変容の物語。
その官能的な瞬間を描いた場面なのです。

《訳詞》

本当かい?クロリス、
君が僕を愛しているのは…
(君が愛してくれているのは、分かってるのだけど)
たとえ王でも、僕ほどに幸せな気持ちを知らないだろう

死なんて、とんでもないこと、
たとえ僕の運命が天国の幸せと引き換えると告げても
人々がアンブロジについて語るどんなことも
僕の空想を掻き立てはしない
君の瞳の輝きの魅力ほどには

☆アンブロジアとは、ギリシャ神話の神々が食べる不老不死の源と言われる食べ物のこと。

17世紀の天才詩人といわれるテオフィル・ド・ヴィオー(1590-1626)の詩。アーンは、この時代の詩であることを意識し、バッハ風の古典的メロディや装飾をつけています。

2月23日ゼストLive情報

22315時より

ゼスト御池・河原町広場にて、Live出演致します。

今回、演奏する主な曲目です♫

・羊は安らかに草を喰み (バッハ)

・クロリスに (アーン)

・リラの木のナイチンゲール  (アーン)

・わが歌に翼ありせば  (アーン)

・オペラ『アドリアーナ・ルクヴルール』より

   私はおとなしい下僕   (チレア)

・夢見たものは  (木下牧子)

                   ほか

2022年の主な活動

昨年は、アルティでのニューイヤーコンサートから始まり、毎月1〜2回のゼスト御池での、クラシック名曲Live(30〜60分)、小学校でのクラシックコンサート、オンライン配信のクラシックコンサートなどに出演、そのほか、レゾナンツクライス声楽教室のお勉強会や発表会、フランスから山本由紀美先生を招いてのレッスンやワークショップ、などの活動を行いました。

今年の活動については、またこちらのHPに更新して参りますので、よろしくお願い致します♫